どうも、ジャコウです!
さて今回は、タイガ島で素潜りした話をお届けします。
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素潜りブーム継続中!
素潜りとは海を泳げるシステムだ。7月3日(金)の夏の無料アップデートで解禁されて、タイガとジャコウの生きもの探索の幅が広がった。既に更新から2ヶ月は経っているが我が島ではいまでも人気だ。
最初の頃のような、目新しい生きものを捕まえたときの感動はさすがに薄れてきたものの、それでも逃げる海の幸を追いかけてようやく捕まえたときのワクワクはこどもを楽しませるには十分だった。
その日もタイガと一緒に海に潜った。ホタテを取ると現れる「ラコスケ」(我が家での通称:ホタテおじさん)に会うためだ。だが残念なことに潜りはじめてはや30分、まだホタテを捕まえることができていなかった。
「全然採れないけどまだ続ける?」
平泳ぎをする手を一旦止めてタイガに訪ねた。
「うん!イタリアンしない!」
タイガの声が勢いよく返ってきた。『イタリアンしない』とは最近明らかになったタイガワードである。今夜の晩ごはんはイタ飯以外でお願いとか、今度の週末はイタリア以外に行きたいとか、そういうことではなく「リタイアしない」つまり「途中で辞めない」という意味なのだ。
ホタテおじさんに会いたい
ホタテおじさんには1日1回だけ会えるらしく、マーメイドというシリーズの家具レシピをくれる。それをタイガは欲しいのだ。一方、僕はホタテおじさんの得も言われぬセリフが毎回気になっていた。
あの『ついでに ひとこと 言ってもいい?』は癖になる魅力がある。古今東西のどこかで聞いたことのあるような名言を微妙にもじったさじ加減。非常に知的な遊び心である。
たとえば
成功とは 思い込みである
失敗とは 思い込みである
これはとても好きな言葉だ。
いろんなビジネス書で使い古された雑巾の用に散々言われてきたようなことだけど、ホタテおじさんに言われるなら柔らかく受け止めることができそうだから不思議だ。
締切に 追われる物、かつて
夏休みの宿題に 追われていた者のことである
もはや誰かの嘆きにしか聞こえないが、たまにちょっとハズしてくるところも愛嬌がある。やるなホタテおじさん!
さて、こうして二人の利害は一致した。マーメイド家具のレシピが欲しいタイガとついでにひとこと言われたいジャコウ。二人は今日もホタテおじさんに会うため海に潜る。
「じゃ、もう少しだけ続けよう」
僕は力いっぱい手を伸ばしながら再び大海原に繰り出した。
君の名はウミブドウ
泳ぎはじめてすぐ僕はあるものを捕まえた。
緑色に輝く海の宝石。プチプチとした食感と程よい塩味が癖になる「ウミブドウ」だ。沖縄料理の流行で前よりも身近になったきがする食材。刺身のツマやサラダでも見かけると思わずつまみたくなる。
「お、ウミブドウだ。最近ぜんぜんたべてないなぁ、久しぶりに食べたいな」
思わず僕の本音が口から漏れた。するとすかさずタイガが飛び乗ってくる。
「いいねぇ、ウミブドウ!!おいしいよねぇ」
「そうなんだよ。たまに食べたくなる。あれ、そういえばタイガ、ウミブドウは食べたことあった?」
「あるよー」
おかしい、実におかしい。タイガは平然と『あるよ』と答えてきたが食べさせた記憶がない。妻は海鮮系が苦手なので僕の知らないところで自らウミブドウを食卓にならべるとは考えにくい。だとしたら──
「ウミブドウ、美味しかった?」
「おいしかったよ!!」
「どんな味だった?」
「あまい!あまあまだよ」
「甘いんだ?」
「うん、とーってもあまぁあい」
「ウミブドウと一緒に食べたものって覚えてる?」
「バナナ!!」
すべての発言が僕の仮説を肯定した。間違いない──
息子よ、それは果物の葡萄だ
例によって、新しい言葉がでてきたときタイガはその音を頼りにして過去の記憶をたぐっていく。「ブドウ」という音から果物の葡萄と紐付けしたのだろう。だからウミブドウの味は甘い。
「タイガ、ウミブドウと果物の葡萄は別のものなんだ」
「べつなの!?」
「うん、名前は似てるけど果物じゃない」
「くだものじゃないのかぃ!」
驚いたり新しいことを見聞きしてるときのタイガは、直前に僕が話をした言葉を繰り返すことがある。まるでオウムのように。
それ故、目の前のことに興味を持っているということはひしひしと伝わってくる。だから僕はひとつ提案をした。
「じゃ今度、買い物に行ってウミブドウが売ってたら買おう」
「いいねぇ!!」
喜ぶタイガの顔が眩しい。こうしてまたひとつ、男同士の約束ができた。
その後。
ウミブドウを見つけた後、僕が少し席を外してコーヒーでホッコリしていると、なんとタイガはホタテを拾い、僕が観ていないところでホタテおじさんからレシピを貰ったらしい。
やっと会えたことに安堵したが、「ついでのひとこと」はコーヒーに入れた角砂糖のようにデータの海に溶けていった。
今回のベストクエッション
どんな味だった?