どうも、ジャコウです!
さて今回は、離島ガチャに挑んだ話をお届けします。
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A long time ago in an island far,far away….
Episode VI
タイガ島には混乱が渦巻いていた。辺境の地では情報不足により同じことを繰り返すだけの打算的な日常、マンネリ化が進んでいたのだ。事態を打開するため、ゲーム好き親子のジャコウとタイガは多大な犠牲を払い 聖なる鈍器「あつまれ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド 」の入手に成功する。これにより求めていた家具レシピは キザ男、アネキ女、コワイ男 から貰える事が判明した。そこで二人は新しい住人を迎え入れるため、遠く離れた島に秘密裏に向かうが……
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離島ガチャはじめました!
「早速、マイルチケットで離島に行くぞ!!!」
普段よりタイガにかける声が大きい。ジャコウは今回の離島ガチャであわよくばぼんやり男ラッキーに住んでもらおうと張り切っていた。
「うん!!」
タイガの返事もこころなしかいつもより大きい。実はタイガも、あわよくばハキハキ男の1ごうに住んでもらいたくてしかたないのだ。
本来の目的をよそに、こうして私利私欲にまみれた二人の離島ガチャが幕を開けた。
おさい(アネキ女)
シェリー(アネキ女)
ジェシカ(アネキ女)
ナディア(アネキ女)
ウェンディ(アネキ女)
レイラ(アネキ女)
アイリス(アネキ女)
ジュン(キザ男)
ジャック(キザ男)
1ごう(ハキハキ男)
ちゃちゃまる(ハキハキ男)
ゴメス(ハキハキ男)
ラッキー(ぼんやり男)
二人は期待に胸を膨らませてひとつめの島に向かった。島に着くやいなや、すぐに住人に遭遇することができた。
「お?あれはなんだろう?」
ジャコウはタイガに確認を促すように語りかけた。
「トリだよ!」
軽快にタイガは答える。そうトリだ。オレンジでボーダー柄の服をきたトリだ。背の高さからたぶんダチョウに違いない。
その住人を隅々まで確認しようと、もう一度、足元から頭のてっぺんまで目で追いかけたとき、ジャコウは頭部に釘付けになった。
こ、こいつ…髪が、髪の毛が3本しかない!!
そう認識した瞬間、恐怖のあまり意識が遠のきそうになり足元がふらついた。
「おとうさん?」
「だ、だいじょうぶだ…」
正気を失いかけた。端的に言うのであればSAN値がピンチだ。もしいま見た髪の毛が1本だったら、ここにもう自我はなく発狂していたに違いない…。
「これランだ!ふつうのおんなのこだよ」
ジャコウが髪の毛に動揺している間、名状しがたい鈍器のような「あつ森攻略本」をペラペラとめくり見つけていたようだ。
「そうだな、じゃ今回はハズレだ。次の島に行こう」
「うんッ!」
1つ目の島はすぐに終わった。その勢いのまま10島を巡るも目当ての住人には会えなかった…レアな昆虫や魚を捕まえたくらいだ。
・1島目:ラン(ふつう女/ダチョウ)
・2島目:サラ(オトナ女/ネズミ)
・3島目:みかっち(ふつう女/ネコ)
・4島目:アマミン(ぼんやり男/ウサギ)
・5島目:チャーミー(アネキ女/クマ)
・6島目:れんにゅう(元気女/クマ)
・7島目:ユユキ(元気女/トラ)
・8島目:クスケチャ(コワイ男/ワシ)
・9島目:ジャコテン(ぼんやり男/トリ)
・10島目:ゴンザレス(コワイ男/サイ)
「おとうさん、あきた〜」
10島目を終えて、タイガの集中力は切れていた。いまにもログアウトしそうなテンションである。
「頑張れ!諦めるなよ!!」
ジャコウの中の熱いシュウゾーがタイガを励ます。
「おまえならできる!タイガならみつけられる!」
「うん〜、わかったぁ〜」
語尾が伸びきったうわのそらな返事が部屋に響く。1ごうを探す気持ちはその言葉と共にどこかに飛び去っていってしまったようである。
よく見ると手にはミニカーが握られていた。おまけに道路パーツもそばに置いてあった。
きっとこれは、道を作り、お店を並べて車を走らせる、そんな街づくりをするつもりなのだ。島づくりを投げ出してこれから街づくりに勤しむ市長になるつもりなのだ!
これは飽きている。親の目でみて確定的に明らかであるがこの戦い負けるわけにはいけない。シュウゾーは諦めない!ぜったいにだ!!
「そうだな、あと10島だけ頑張ろう!」
返事はなかった。
汗と涙の11島目〜40島目
こうして上の空な息子を半ば強引に連れまわして島を回った。
・11島目:スミ(ふつう女/ヤギ)
・12島目:ラン(ふつう女/ダチョウ)
・13島目:カール(ぼんやり男/カエル)
・14島目:ピータン(ハキハキ男/アヒル)
・15島目:いさこ(ふつう女/メウシ)
・16島目:ブンジロウ(コワイ男/オオカミ)
・17島目:ポーラ(オトナ女/ペンギン)
・18島目:エイプリル(元気女/サル)
・19島目:ダンベル(コワイ男/ゴリラ)
・20島目:ロッキー(キザ男/コアラ)
「ダメだ…会えない」
キザ男、アネキ女には会えたがお目当ての住人ではなかった。暇すぎたのかタイガは途中で寝てしまっていた。
こうなったら、パパの威厳をみせてやる!
ひとり意気込んで寂しく島巡りを続けた。
・21島目:キッズ(オトナ女/カンガルー)
・22島目:ちとせ(ふつう女/ダチョウ)
・23島目:ゆきみ(ふつう女/ハムスター)
・24島目:リック(ハキハキ男/ライオン)
・25島目:マリー(オトナ女/ヒツジ)
・26島目:トキオ(ぼんやり男/ダチョウ)
・27島目:スミ(ふつう女/ヤギ)
・28島目:ちゅんのすけ(ハキハキ男/トリ)
・29島目:ジュリア(オトナ女/ダチョウ)
・30島目:ジェーン(オトナ女/ネコ)
・31島目:シベリア(コワイ男/オオカミ)
・32島目:コマチ(オトナ女/アリクイ)
・33島目:カンクロ(コワイ男/カンガルー)
・34島目:チッチ(ふつう女/サル)
・35島目:オーロラ(ふつう女/ペンギン)
・36島目:ニッシー(ぼんやり男/コグマ)
・37島目:アクリル(ふつう女/ヒツジ)
・38島目:トンファン(キザ男/ブタ)
・39島目:マーサ(元気女/ウサギ)
・40島目:みやび(ふつう女/アリクイ)
40島目が終わった。会えなくて、会えなくて、コントローラーを握る手が震えていた。
ここまで開始から要した時間は約2時間半。最初は木を揺らしたりもしていたが、あまりのでなさに住人がいなければ帰ることにして数をこなした。
道中、ちとせ(ふつう女/ダチョウ)という ハニートラップ にも遭遇した。
これは離島ガチャにつきまとう危険な罠だ。お目当ての住人がいるのにちょっと可愛い別の子が待っている。いますぐいいよと言っている。据え膳だ。
息子との約束を忘れたのか?
もうひとりの自分が何度もこの問を投げかけた。欲望に揺らぐ自我をあるべきところに戻そうとする。忘れてはいない、逆境のときこそ親子の絆をみせるときなのだ。貴重な枠を息子の期待を裏切って消費するわけにはいかない!
こうしてこの危機は脱していた。
さて、今日は島を巡るべきか、辞めるべきか――
疲れてはいたが成果がないのは嫌だった。ここまでくるとパパの威厳というより意地である。そこで区切りの良さそうな50連が話題としてもよさそうだと考えてあと10島だけまわることにした。
邂逅のときがついに!40島目〜
再び飛行場に向かい、いつものようにロドリーと軽い会話をした。もう40フライトもしたのに顔色ひとつ変えなかった。こいつはプロだ。
・41島目:タックン(キザ男/アヒル)
マジかよ。
・42島目:エックスエル(ハキハキ男/ゾウ)
ゾウ珍しいな。
・43島目:コージィ(ハキハキ男/カエル)
人は心が100カン目。どういう意味だ?
・44島目:キャビア(ふつう女/ネコ)
だニ。
・45島目:
その時がついにやってきた。
いつものようにロドリーに見送られて桟橋を渡ると、あたりにはオレンジがたわわに実っていた。
森に入ると木漏れ日がキラキラと差し込み、疲れた僕の心を癒やすかのようにオレンジの甘い香りがあたりを満たしていた。奥へと進むたびに木々の合間をすり抜ける風も僕の頬を優しくそっと撫でていった。
そして少しひらけた場所でその住人と出逢った。
愛嬌のある丸みを帯びたシルエットで独特な衣装、そして「じゃんよ」の使い手。
「間違いない、レイラだ」
アネキ女のペンギン、レイラ。候補13人のうちのひとりがついに!
心の中で鐘が鳴っていた。興奮して選択肢を間違わないようにしながら勧誘を完遂する。
パパの威厳、Yes! Yes!! Yes!!!
帰りの飛行機の中で何度もガッツポーズをした。はしゃぎすぎて妻に叱られたがすぐに気を取り直した。両腕をこれでもかと広げて背伸びをしながら横目でタイガを見ると、よだれを垂らしながら寝ていた。
起きたときどんな表情をするのだろう。
そう思うと自然とにやけた。およそ3時間かかった疲れなど忘れていた。明日の朝が待ち遠しい。
今回のベストクエッション
息子との約束を忘れたのか?